田中道子さん(フルート)

 

音楽が楽しく心地いいと知り

 

好きになってほしい

 

それを叶えてくれるのが

 

HappyMotherMusicでした

 高校のブラスバンドがフルートとの出会いです。もともと、音楽はあまり好きじゃなかったけど、中学の友達がほとんどブラスバンドに入ったのでつられたのがきっかけでした。ピアノを小学校からやっていたけど、楽譜がまともに読めなかったし、嫌いだったんですよ…。だけど、フルートははまりました! 気がつくと、四六時中吹くようになっていました。
 大学は、日本文学を専攻しました。アルバイトの収入でフルートのレッスンを受けるようになって、ほんとうにフルートが好きになりましたね。先生が教えきれなくなってそのまた先生につくように。レッスンを受けてきた先生から口々に「音大受けたら?」と言われていましたが、大先生にも言われたのでついうっかりその気になりました。
 当時、短大を卒業して就職していたんですが、父の転勤もあり、母と関西に残って音大受験を目指しました。ピアノやソルフェージュも一年で準備しました。学生時代は、朝、始発で学校へ行き終電で帰ってくる…という練習三昧の生活でした。ごはん食べるのを忘れるぐらい吹いていて、卒業までに10Kgやせたんです。
 音大を卒業して、音楽関係のバイトをしていましたが、経済的に無理とわかり、定時に帰れる派遣の仕事を探して、夜は練習やレッスン、土日は演奏活動…という生活をしていました。気持ちはフルート中心でしたね。
 結婚して専業主婦に。転勤で、横浜に。3年目に妊娠しました。フルートを吹くと、よくお腹を蹴られたのを覚えています。妊娠中でも構わずフルートを吹きすぎて、オーケストラの本番の翌日に切迫早産と診断。フルート禁止、家で絶対安静、となりました。普通の生活をして下さいという病院だったんですけど、やりすぎましたね(笑)。友だちからも「それは妊婦の生活じゃない」と言われました。
 3月に生まれてからは、待ってましたと、また、フルートを吹き始めました。音に合わせて、「あー」とか「うー」とか、タイミングよくいい始めました。規則性があったので、「ああ、聴いてるんだなぁ」と思っていました。
 5・6か月の頃、関西でコンサートがあり、母に預けて半日練習、ということを何回か繰り返しましたが、預けるたびに高熱を出すんですね。私が帰ると下がる。やはり、負担をかけているんだなぁ、とわかったんです。

 3・4ヶ月の頃、ココマップ(港北区子育て情報ポータルサイト)だったかな? HPで知って、気になっていたんです。でも、まだ早いかな?と、様子をうかがっていました。(後からわかったのですが、昼夜の区別がついてから、3・4ヶ月頃から音楽を聴くのがいいんだそうですよ。)
 そんな時に、出産した病院のママ友達から誘われて、HappyMotherMusic主催の応急手当の講習に参加。それを機会に、自由が丘のおやこ響室に参加するようになったのが、秋だったから6ヶ月頃。そして、フルートを吹いていることがわかったら、すぐ、演奏の場をいただきました。
 まず、12月に自由が丘で。続いて、音伽の会(※注1)のクリスマス会で。ちょうど取材があって、9か月の息子をおんぶして演奏する様子が、神奈川新聞に掲載されました。1月には、下丸子のおやこ響室で。離れないんじゃないかと心配していたけど、はいはいの頃で、広いリハーサル室をものすごくうれしそうにはい回っていて、ぜんぜん大丈夫でした。3月には、川崎の子育て広場で。職員の人に相手をしてもらって演奏ができました。
 そんなふうに、最初は、出演のタイミングの融通がきくおやこ響室で出演し、去年から、おやこコンサートにも出演するようになったところです。小さい子どもがいながら演奏するのは無理かな…と、諦めていた部分もありましたが、やってみたらできるんですね。伴奏合わせやミーティングの時も子どもと一緒に参加できるし、演奏仲間やおはなしと歌のお姉さんの保育士が相手をしてくれるんですよ。
 環境があれば、子育て中でも演奏を続けられる! 預けるのは子どもに負担をかけるとわかったのでそこまでしてとも思うし、預け先も選ばなければいけない。 HappyMotherMusicでは、そんなことすら考える必要がなかった。こんなやり方で、外へ出る方法があるんだと思いました。
 HappyMotherMusic でよかったのは、いろいろな人の目で見てもらって子どもを育てていけること。子どもも家以外の世界を自然に知ることができる。保育所とはまた違う環境ですよね。保育の専門家も含めて何人ものおとな、何人もの子ども。子どもどうしで仲良くなったりもありますね。親としては、いろいろな親子の関わりも見られる。時には、保育士の資格を持つメンバーからアドバイスをもらえる。そんなところがすごくよかったです。
 子どもも、自然に音楽が好きになりました。音楽をよく聴きます。歌もよく歌います。先週、新幹線で関西まで帰る時、2時間ずっと歌っていました。1歳ぐらいで聴いていた曲も、頭に入っているみたいですね。、ずっと歌っていない曲でも、間が空いてからメロディーを口ずさんでいたりします。
 1歳ぐらいの時から、オーケストラに復帰しましたが、2歳の頃に、2時間ぐらいの練習の間、動いたりしながらでも飽きずにパパと客席で聞いているんですね。どうやら、いろんな音を楽しみながら聴いているようです。オーケストラの練習は毎週土曜日で、息子はパパにみてもらっていました。子育てしながら音楽を続けるには、やはり家族の協力が必要ですね。

 自由が丘からはじまって、ずっと、おやこ響室に受講生おやことして参加しています。私のフルートだけでなく、いろいろな音楽、演奏を聴いてほしかったからです。夫もギターを弾きますし、家の環境からいつか音楽に興味を持つ日が自然と来るかもしれない。そのために今できることはいろいろな音楽を楽しみながら聴けることかな、と。まずは音楽が楽しく、心地いいものであることを知り、好きになってほしかった。それを叶えてくれるのがおやこ響室だと無意識に確信していました。
 音楽だけではなく、絵本も大好きになり寝る前に次から次へと布団に本を持ってきます。言葉も絵本から覚えるらしく、時々妙な言葉遣いになっていることも…。どうもその時に本人がはまっている登場人物のしゃべり方をそのまま応用してしまうらしいです。
 息子は恥ずかしがりなところがあって、響室の問いかけには参加しないことがあるのですが、帰宅後に同じ遊びをしたがります。聞いていないようで聴いている、見ている。「あ、ちゃんと覚えていたんだ、出来るんだ」と思うこともしばしば。他の習い事では「うちの子だけどうしてできないの?」と思うこともありましたが、おやこ響室ではそんなことはなかったです。0歳の頃からお世話になっていて先生も息子の性格はご存じなので。習い事をする上で、私の精神衛生上、一番重要な部分でした。
 他にもいくつか習い事は経験しましたが、0歳からずっと続いたのはこの響室だけでした。そして息子もこの響室だけは「今日は先生のおうち?」って、喜んで行き、毎回帰らないと駄々をこね…。よく喋るし、よく動くし、ここで昼寝するとまで言いだして、まるで家にいるのと一緒です。息子にとってそんな場所は他にはないですね。
 この春から幼稚園なので、先日、響室の入園パーティで祝ってもらいました。お料理の先生宅でいつもと雰囲気や勝手が違ったからか、最初は「抱っこ!!!」で離れなかったけど、布バッグに野菜のスタンプ押しを一緒にして、私が夢中になると息子は最初嫌がっていたのに急に「僕がやる!」と言い出したんです。頃合いを見てそっと離れましたが、次に様子を見にいくと「ママはあっちでご馳走作ってきて!」。それからは私の方は見向きもしないで、いつの間にかお友達をつくって遊びまわっていました。出来上がった料理もおいしく、息子も「おいしいね!」とパクパク。心配だった幼稚園もこれなら「きっかけ」さえ掴めば大丈夫かな?と思えました。
 余談ですが、お料理の先生宅を出る時に一緒に出た先生方と「ありがとうございました」って言った後に、息子が続いて自分から大声で「ありがとうございました!」って言ったのが印象的でした。強制しなくても、大人がふだんから見せていたら自然と子どももやるんだと思った瞬間でした。

 やっていきたいことよりも、やれなくて残念!ということは、音伽あそび(※注2)のレッスンです!! 楽しみにしていたのに、関西への転勤が決まってしまって…。こんな教室を探すのは難しいですよね。何より、音楽を聴く機会が少なくなる。演奏も続けたかったし、あたらしいHappyMotherMusicで始まるセミナーとかで勉強もしたかった。
 HappyMotherMusicでの音楽仲間の松田みほさんの友達が引っ越し先の近くにいると分かったので、早速連絡をとってみたいですね。引越しの時って、荷物整理とかで半年ぐらいあっという間に立ってしまって、その間にモチベーションが低くなり、「まぁいいか」となってしまうことが怖いです。
 いずれ関西に戻ることはわかっていたので、「関西でも HappyMotherMusicのような活動ができたら…」と言っていたら、「ふるサポ(港北区ふるさとサポート事業)を見学してみたら?」と勧められ、10月に中間報告会を見学して、3月14日には、港北区ふるさとサポート事業報告会で発表しました。思っていた以上に緊張して原稿にかじりついてしまいましたが、いろいろな方々の意見や感想など聞くことで自分の知らない世界というか、地域活動の成り立ちみたいなものも少しだけ知ることができました。
 拙い発表になることが判りつつも貴重な体験をさせてもらって感謝しています。引っ越し後がどうなるか、まだ見えませんが、HappyMotherMusicでの経験は、きっと、またいつか、どこかで何かにつながると思っています。                                             (2009年3月)

HappyMoterMusicの経験を胸に関西へ引越しした田中さん。

HappyMotherMusicのメンバーからの縁で新天地でも音楽仲間ができ、
地元でおやこコンサート活動を始めています。

これからの展開が楽しみですね♪

まざーでぃあ♪ http://web1.kcn.jp/motherdeer/index.html


 

 

※1)「音伽の会」は、音伽舎おやこ感覚響室となっています。

※2)「音伽あそび」は現在音伽舎音楽響室で行われています。

 

音伽舎(おとぎや)HappyMotherMusic代表鈴木美美子主宰の音楽響室で

         HappyMotherMusicのメンバーも関わっています。 

         現在、おやこ感覚響室は、休止中です。